第一章 氷火島
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第一章 氷火島
旅の始まり
石壁の前に立ち止まり、右手が少し熱いのを感じた。
石壁の刻字を指でそっとなぞる。何かに導かれているように。
「天下無敵こそ、この世で最も寂しいことだ。少年の勇猛、中年の沈静、老年の余裕、もう更なる境界に辿り着けぬ!」
最後の文字に触れた時、一瞬の光に視線を奪われ、思わず目を閉じた……
緑「………………うん?」
いま目の前にいる、瞬きしながら笑みを浮かべている少年を茫然と見つめる。
私「誰……ですか……?」
緑「え?そんな目で見ないでくれよ。俺が悪いやつみたいじゃん……」
緑「怖がらなくていいよ。俺は緑だ、名高ーい丐幇の宝物さ。いや、実は、どうしてここにいるのか、俺にもよく分からないんだ……目が覚めたら、君と一緒にここにいたからさ……」
私「じゃ、ここは?」
緑「話は後だ。このあたりは魑魅魍魎でいっぱいなんだ。我々丐幇は絶対に他人を見殺しにはできない。外の妖怪をオレがなんとかするから、君もオレと一緒にくるんだ!」
魍魎「ゴゴゴゴゴゴゴオォォ!」
緑「噂をすれば、ってね!しょうがない、やってやろうじゃん!」
記憶喪失の謎
私「うん、大丈夫。」
緑「オレがいなかったら、君はとっくに食われてただろうな。」
私「ありがとう。此処に居られるのは……」
私「私はどうしてここに?」
唯一覚えているのは、さっきの夢だけ。私の名前は……(※名前入力)
無剣「必ず……あそこに戻る……!」
緑「へぇー?行きたいところがあるのか。何はともあれここを出てからだね!」
緑が言い終わると突然、地面が揺れ始めた。
緑「ついてきて!早くここを出るよ!」
心で夢さがし
無剣(さっきの夢の中に懐かしい力があった……、もしそれを取り戻せば……きっと……緑の役に立てる。)
無剣(探そう!……さっきの夢を……)
彷徨う鈴音
緑「ここ?ここは氷火島。」
金鈴「氷火島?知らないね。」
金鈴「ふーん、どうやって離れるっていうの?」
無剣「ちょうどここから脱出する方法を探しているところだったんだ。なんなら一緒に探そうか?」
緑「うんうん!」
頷く緑の前に、金鈴は変わらず疑り深そうな目でこちらを見ている。
無剣「心配しないで、私たちはあなたを傷つけない。」
金鈴「……外は陰険狡猾な人ばかりだから、君なんて信用できない。」
緑「君に害をなして一文の得にもならないよ。それに『三人寄れば文殊の知恵』っていうじゃん。悪くない提案だと思うけどなぁ~」
緑「君もそう思うだろ?」
金鈴「…………」
金鈴「分かった。でも先に言っとくけど、ここを出たら僕たちは赤の他人…もうかまわないでね。」
緑「金鈴っちなら絶対に賛同してくれると思ってたよ!」
金鈴「きっ……、金鈴っち?なにそれ!」
緑「はははははは!」
緑「さぁて、誰がくるのかな~」
倚天が出れば
金鈴「確か『武林の至尊、宝刀屠龍、天下に号令せば、敢えて従わざる莫し。倚天出でずんば、誰か与に鋒を争わん』という話が…」
金鈴「倚天がここにいるなら、屠龍もじき現れるでしょ……?」
魍魎「ゴゴゴゴゴゴオォォ!」
緑「諦めが悪い魍魎たちだなぁ!」
倚天「邪悪なる気を感じる……!」
氷火の島
倚天「ここは何処だ?地脈がこんなに不安定とは…」
緑「北海の氷火島って名前の島にある万年の氷と噴火を繰り返している火山が由来だってさ。」
倚天「氷火島……」
金鈴「え?ここを知ってるの?」
倚天「うむ。話には聞いていたが来たのは初めてだ。」
倚天「しかしここには邪悪な気が充満している。早々に離れるのがいいだろう。」
緑「倚天の兄貴がそう言うんだったら、早く出口を探さないとね!」
倚天の旧友
倚天「おかしい…わたしがここに現れたことをあやつはすぐに知ることができるはず……なのになぜ姿を現さない…?」
金鈴「彼?この氷火島に知り合いでもいるの?」
倚天「まぁ、腐れ縁ともいうべきかな…」
金鈴「それ…まさか屠龍のこと?」
倚天「あぁ……ま、アイツなら心配はいらないだろう。」
金鈴「そうだね、それよりここを脱出する方法をまず探そう。」
氷火の心
緑「島の沿岸をぐるぐる回っても、外に出る道なんてありゃしない……」
金鈴「もしかして、どこかに抜け道でもあるんじゃないのかな……」
緑「島の周辺は探したし、島の中心部に行ってみるのも一理あるね。」
金鈴「島の中心に近づくほど、魑魅魍魎が増えてる気がする…」
倚天「島の中心部に霊力が集まっているのを感じる……中に何かあるかもしれんな。」
金鈴「行ってみる価値は十分にあるということだね。」
魍魎「ゴゴゴゴゴゴオォォ!」
緑「気のせいじゃない、魍魎がどんどん増えている!皆、気をつけて!」
妖異の鏡
無剣「これも魍魎なのか?!」
金鈴「魍魎は邪悪な妖怪によって作られたもの……これほどの大物、体内にどれだけ邪悪な気が溜まっているやら……」
緑「うわーー、すげぇデカ物!もし負けたら……」
倚天「倚天の剣、血を存分に啜るまで、鞘には戻らぬ!」
倚天「この程度の妖、恐るに足らん!」
無剣「ちょっと待って!一人が魍魎に囲まれた。まずは彼を支援して、その後あの巨大な魍魎を退治しよう!」
(※囲まれている屠龍を助け、巨大な魍魎を倒す)
妖鏡の欠片
鏡の破片を拾い上げ、「引魂鏡」の三文字が書かれていることに気づく。模様もどこかで見たことあるような……
緑「見ろよ!ここにあった氷山が崩れたおかげで出口が見えたぞ!」
倚天「恐らく島全体が崩れ始めているのだろう…」
屠龍「早く行けっ!」
走っている途中で、手に持っていた破片が落ちてしまった。
慌てて足を止め、身をかがめて足元を探す。
金鈴「なにぼさっとしてるの?!」
緑「早く!地面に亀裂が……!」
無剣「でも……あの鏡の破片を……見つけなきゃ!」
屠龍「このっ!ばかがっ!」
茫然とする私の手を掴み、屠龍はひたすら先へ走る。
夢中の地
倚天「さっきは何をぼうっとしていたんだ?……危うく死ぬところだったぞ。」
倚天に責められるような視線を向けられた。
緑「さっき何か探してなかった?」
みんなに、「引魂鏡」の破片の模様が、夢に出てきた石壁の模様と同じだってことを話した。
緑「君が夢の中で見た場所はどんな所だった?もしかして誰か手がかりを持ってるかもよ!」
夢の光景を思い出そうとすると、右手がまた熱くなった。
無剣(あそこは……幽冷で秘密の場所……剣がたくさん埋もれて……)
無剣(周囲の石壁に古い刻字がある……「天下無敵こそ、この世で最も寂しいことだ。少年の勇猛、中年の沈静、老年の余裕、もう更なる境界に辿り着けぬ!」)
私の夢の話を聞いている屠龍と倚天は同時に声を上げた。
屠龍&倚天「剣塚だと!!!」
お互いの顔を見合わせた後すぐ、目を逸らした。
金鈴「君たち、なんであれが剣塚だと知ってたの?」
屠龍「だいぶ昔にその場所の話を聞いたことがある……おまえの言う夢に出てきた場所と随分似ているようだが……」
無剣「塚は墓の意味です、確かにあそこに沢山の剣を埋葬している……あなた達の言う通りかもしれません。」
緑「君の行きたいところも知ったことだし、一緒に行けばいいんじゃん?剣塚まで送ってやるよ。」
屠龍「引魂鏡の模様が剣塚と関係するなら、どうしても行かなくてはいけない理由ができたな。」
倚天「あの方はまだ剣塚にいらっしゃるのだろうか…」
屠龍「オレも興味がある。この旅、オレもお前も乗ることに決定だな!」
倚天は無言で軽く頷いた。
緑「金鈴っちは?一緒に行かないの?」
金鈴「え?僕には行きたい場所が……はぁ……でも、まぁそれまでしばらく付き合ってあげるよ。」
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